櫻井翔「今は、走りながら未来への種を撒く時期」 戦友の安心感とこれからのビジョン

https://dot.asahi.com/aera/2023040600069.html?page=1

俳優として、ニュースキャスターとして、アイドルとして、第一線で活躍を続けている櫻井翔さん。仕事に対しての誠実な姿勢は、常に変わらない。AERA 2023年4月10日号から。

――ドラマ「ネメシス」の映画化にあたり、約2年ぶりに探偵・風真尚希を演じた。

櫻井翔(以下、櫻井):ドラマを撮影していた数カ月間で作られていった風真像からはみ出さないよう演じました。広瀬すずさん演じるアンナに向ける愛情や江口洋介さん演じる栗田さんに向けるリスペクトは忘れないように意識しました。

――難解な上に非常に長いせりふを高いスキルで演じた。入江悠監督は称賛したという。

櫻井:入江さんが褒めてくれていたとは知らなかったです(笑)。その長いせりふの撮影スケジュールは、明らかに僕がミスをしないことを前提に組まれていたんです。非常にプレッシャーを感じて、練習あるのみでしたね。

 現場は言わば試合会場なので、そこで基礎練習をやるわけにはいかない。となると、家で練習をするしかありません。ことせりふに関しては怠ける方法がないのでやる一択です。

■長いせりふが多い

 その長ぜりふの後にカザラップのシーンを撮ったんですが、入江さんの希望でアドリブを入れました。そのときはせりふからの解放感でいっぱいでしたね(笑)。

 なぜだかわからないんですが、僕が演じる役は長ぜりふが多いんです。台本を読んで、「まただ」と思うこともありますが(笑)、やっぱり練習するしかありません。連続ドラマの場合、途中でスピーディーにせりふが覚えられるゾーンに入ることがあるんですが、それも練習の積み重ねによって回路ができていくんでしょうね。

――40代になり、間もなく芸能生活30年を迎える。ベテランといっていいキャリアを持つが、「仕事への取り組み方は変えたくない」と話す。

櫻井:経験を重ねると、最短距離を進む方法を覚えてしまいますが、なるべくその方法を取りたくないんです。どれだけプロセスに時間をかけてきたかは見ている人に伝わると思っています。だからこそ、楽をせずにきちんと段階を踏んで準備をしたい。年齢を重ねている自分を律する目的もあります。

――関わるすべての仕事にひたむきで誠実だ。役者、アイドル、ニュースキャスターと多様な顔を持っているが、仕事をする以上、プロとして役割を果たしたいという。

櫻井:もちろん、自分の中では、向き不向きはあります。でも、僕らのお仕事はお話をいただくところから始まることが大半なので、向き不向きを意識した時点でプロとしてのスタートラインから外れてしまうと思っています。向いていようが向いてなかろうが、一定あるいは一定以上の結果を出すことが僕の役割です。

■きちんと返したい

 僕の仕事は、自分に跳ね返ってくる部分がすごく多い。中途半端なことをして結局一番傷つくのは自分です。そのことを肝に銘じると同時に、お仕事をくださった方にはきちんと返したいし、ひいては見てくださる方やファンの方にもきちんとしたものを届けたいという気持ちで向き合っています。

 今思うと、昔から仕事の肩書は意識してなかったですね。デビューしてからずっと嵐というグループを確立させたくて頑張ってきたけど、アイドルとしての理想形を追求してきたつもりは全くなかった。

――嵐について、丁寧に言葉を選んでこう語った。

櫻井:嵐でデビューした最初の数年間はすごくもがいていて、悔しさを燃料にしていたところもありました。危機感を持っていたというより、本当に危機だったんだと思います。

 いまは安定したいと思っています(笑)。でも、守りに入りたいわけではない。僕の仕事には、喜びや面白みがあります。今日どうやって生きるかを大切にした上で、未来に向かって種をまくことが大切だと考えています。

 昨日、相葉(雅紀)と撮影で一緒だったんです。大晦日は紅白(歌合戦)で松本(潤)と一緒でしたが、嵐のメンバーといると安心感は覚えますね。家族でもあり、仲間でもある。戦友という言い方が適しているのかな。その安心感をもたらしてくれる存在は世界中を見渡してもあの4人しかいない。改めてそう感じました。

■オリパラ大きかった

――これからのビジョンを聞くと、意外にも「以前のようにこれからのイメージを持つことが難しくなった」と話した。

櫻井:20歳の時、30歳の時は「10年後はこうなれていたらいいな」というイメージがあったんですが、いまは50代、60代をどう過ごしているかイメージしづらくなりました。

自分の中での節目として、2021年の東京オリンピック・パラリンピックは大きかったです。08年の北京五輪から携わらせていただき、20代、30代とまいてきた種が芽吹いて形になった感覚が強くありました。

 いま、その延長線にいるのかはわかりません。ただ、いまこういうふうにお話をしていて、走りながら次への種をまかなければいけない時期なのかなと思いました。

 20代の時にまき始めた種が40歳前後で芽吹いたように、20年後にその種が芽吹いたらいいですよね。

 映画「神様のカルテ」でご一緒した深川栄洋監督が、2年ほど前に自主映画を作るにあたって「心を燃やしたかった」とおっしゃっていて、その言葉が自分の中で強く響いたんです。

「自分は何を燃やせているんだろう」と日々模索するようになりました。その“何か”は今は映画「ネメシス」であり、少し前はドラマ「大病院占拠」でした。

 嵐の休止後に「ニューズウィーク」さんから「震災のことと戦争のことを書いてみませんか?」とオファーをいただいたことがトリガーになったこともありました。そうやってトリガーを誰かに用意していただくことも、場合によっては自分が作ることもあり得ると思っています。

 今日この瞬間は気持ちを燃やせていますが、いつかその炎がなくなってしまう日が来るんじゃないか、来ないようにしなければいけないという怖さは常に感じています。ずっと何かを燃やし続けたいですね。

(ライター・小松香里)

※AERA 2023年4月10日号

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ARASHI FOR DREAM~
眼前的每一片風景,都是人生走過的印蹟
因為愛~讓我繼續走下去

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